文部科学省科学研究費 基盤研究(B)
「地域資源の利活用マネジメントにむけた福祉転用計画システムの構築」
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研究メンバー
森一彦(代表)(大阪市立大学)
加藤悠介(幹事)(金城学院大学)
山田あすか(幹事)(東京電機大学)
松田雄二(幹事)(東京大学)
松原茂樹(幹事)(大阪大学)
三浦研(大阪市立大学)
厳爽(宮城学院女子大学)
吉村英祐(大阪工業大学)
北後明彦(神戸大学)
橘弘志(実践女子大学)
鈴木義弘(大分大学)
鈴木毅(近畿大学)
大原一興(横浜国立大学)
アドバイザリーボード
スケジュール
研究内容
福祉転用計画システム
研究体制

福祉転用計画システム

日本建築学会福祉施設小委員会では2010年~2011年にかけて空き家・空きビルの福祉転用の全国的な視察調査※1を実施した。この結果、福祉転用の中で多くの時間が割かれたのが、ダブルスタンダードの協議調整であった。たとえば、施設の必要面積と既存建物の増築限度、手摺り設置と通路有効幅の齟齬、複合用途とスプリンクラー設置、福祉制度と制度外事業との不整合、ストック種別と転用の可能性、空き屋所有者と健全な事業者とのマッチングなど、多岐にわたっており、ダブルスタンダードは4つの専門分野(a.建築計画の技術、b.制度基準との整合、c.地域福祉との融合、d.地域資源の利活用)に分類(上図)できる。また一方、海外ではスウェーデンの地域独自の施設基準の運用、イギリスの性能基準未充足に対する保険的対応、オーストラリアのコミュニティマネジメント組織など、福祉転用に対応するための「協議調整の組織」や「対応策」など様々な仕組みが存在している。この対応策は、関係者事前ヒアリングから大きく4つのタイプ(A.適用除外、B.段階適用、C.リスク保険対応、D.総合リスク判定)になると予想されている。そこで本研究では、福祉転用にかかわるダブルスタンダードに対して、柔軟に対応する仕組みとして、新たに「福祉転用計画システム」という考え方を導入し、その理論化とシステムの構築を目的として、国内・海外の福祉転用事例の実態調査から実証的に明らかにする。
何をどこまで明らかにするのか
福祉転用計画システムとは、従来の施設制度にもとづく建築計画ではなく、地域の状況に応じて住宅・集住・学校・病院・商店・事業所などの既存ストックを、子ども・障碍者・高齢者を含む多様な利用者のための福祉拠点に転用するために、建築士・消防・行政・介護などの専門家と地域住民がオープンなプラットフォームで総合的な協議調整を行う仕組みである。本研究は3年間で、【調査1】国内1000機関(自治体、消防)と200福祉施設の郵送アンケートと、【調査2】国内36例の現地訪問調査、【調査3】海外12例の現地訪問調査を実施し、調査状況にあわせて定期的に専門家・住民等を交えた検討会18回、公開研究会6回(最終回はシンポジウム)を開催する。それよって以下の5点を明らかにし、成果は報告書にまとめWebsite公開する。

【成果1】福祉転用の実態とニーズ

【成果2】福祉転用事例データベース(評価と工夫)

【成果3】ダブルスタンダード要件リスト

【成果4】協議調整の組織と対応策

【成果5】福祉転用計画システムの構築に向けた提言

本研究の学術的な特色・独創的な点と意義
コンバージョンに関する建築計画研究は松村ら※1の活動をはじめ多く、また住宅から転用したグループホームなどの福祉拠点の実態調査研究も広くなされるようになってきた。本研究では、このような現在の研究動向に対して、新たに「福祉転用計画システム」という考え方を導入し、建築計画と地域福祉が融合した福祉転用プラットフォームを創出することによって、良好な地域資源の利活用が促進するという仮説のもとに、新たな理論とシステムの構築を図ることに特徴がある。本研究によってコンバージョンが建築分野に限定されていたものを地域福祉と関連づけ、新たな学際領域を展望しつつ、地域資源の利活用マネジメントという政策的課題について、従来にない視点から提言できる点に大きな意義がある。

※1.「空き屋・空きビルの福祉転用 – 地域資源のコンバージョン」日本建築学会編(福祉施設小委員会)、学芸出版、2012.



※2.「コンバージョン[計画・設計]マニュアル」、建物のコンバージョンによる都市空間有効活用技術研究会(松村秀一ほか), エクスナレッジムック,2004.

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