文部科学省科学研究費 基盤研究(B)
「地域資源の利活用マネジメントにむけた福祉転用計画システムの構築」
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研究メンバー
森一彦(代表)(大阪市立大学)
加藤悠介(幹事)(金城学院大学)
山田あすか(幹事)(東京電機大学)
松田雄二(幹事)(東京大学)
松原茂樹(幹事)(大阪大学)
三浦研(大阪市立大学)
厳爽(宮城学院女子大学)
吉村英祐(大阪工業大学)
北後明彦(神戸大学)
橘弘志(実践女子大学)
鈴木義弘(大分大学)
鈴木毅(近畿大学)
大原一興(横浜国立大学)
アドバイザリーボード
スケジュール
研究内容
福祉転用計画システム
研究体制

研究内容

研究の学術的背景
わが国は、2004年の人口ピークから連続的に人口減少と少子高齢化が同時進行し、50年後には6割の都市で人口が半減し、高齢化率40%以上になるなど、大きな社会構造の変化がおとずれる※1。戦後から一貫して建設されてきた建物の空き屋が急増する一方で、高齢者支援に加え、障碍者の地域移行、子育て支援などのための福祉施設の不足が進行している。このような状況の下、空き家・空きビルを福祉的なサービス・機能に転用する「福祉転用」が注目されている。特に地域内のデッドスペースを住民自身で利活用することで、地域共生や地域福祉につなげている先進的な事例も生まれている。一方で、既存不適格や違法建築のまま転用する事例など、適用除外規定の範囲内で改修する「劣悪な転用」も多く発生し、社会問題になっている。今、「円滑なストック活用」に加え「良質な転用への誘導」をはかるための地域資源の利活用マネジメントが求められている。

※1.「国土の長期展望-中間取りまとめ」国土交通省(国土計画局),2011.

地域資源の利活用の課題と対応
しかし現実は、「一用途一寿命」を前提に制度化されたため、転用前と転用後の間に様々なダブルスタンダードが生じ、地域資源の利活用の障害になっている。それらを解消するための協議調整の仕組みが求められている。日本建築学会建築ストック法制度研究小委員会※1は、良質の建築ストックの活用が進まない理由として「一定以上の改修等を行う建築ストックに対して、新築と同等の性能に既存遡及することを求めながら、一方でさまざまな適用除外規定がある。」というダブルスタンダードを指摘し、結果として「維持向上が義務付けられない程度に限定した安全でない改修」を誘導し、もしくは「建築ストックを活用する機会」を奪っていると述べている。その現状に対し、建築ストックの活用と安全性能の維持向上を両立させる仕組みとして、「遡及の段階適用」、「総合的な協議調整」および「情報公開」を上げている。また、松村ら※2は建設業の横断的研究会をとおして、コンバージョンにかかわる各種の技術検討を行った上で「利用の構想力」を提唱し、建築技術やコスト性能だけでなく、「利用者の生活経験に基づくリアルな要求と生活の場づくり」という利用者の立場に立った協議調整の重要性を指摘している。

※1.「建築ストック社会と建築法制度-防火避難規定の課題を中心に」日本建築学会編(建築ストック法制度研究小委員会),技報堂出版、2013.

※2.「コンバージョン?[計画・設計]マニュアル」、建物のコンバージョンによる都市空間有効活用技術研究会(松村秀一ほか), エクスナレッジムック,2004.

福祉資源の利活用の課題と対応
日本建築学会福祉施設小委員会では2010年?2011年にかけて空き家・空きビルの福祉転用の全国的な視察調査※1を実施した。この結果、福祉転用の中で多くの時間が割かれたのが、ダブルスタンダードの協議調整であった。たとえば、施設の必要面積と既存建物の増築限度、手摺り設置と通路有効幅の齟齬、複合用途とスプリンクラー設置、福祉制度と制度外事業との不整合、ストック種別と転用の可能性、空き屋所有者と健全な事業者とのマッチングなど、多岐にわたっており、ダブルスタンダードは4つの専門分野(a.建築計画の技術、b.制度基準との整合、c.地域福祉との融合、d.地域資源の利活用)に分類(上図)できる。また一方、海外ではスウェーデンの地域独自の施設基準の運用、イギリスの性能基準未充足に対する保険的対応、オーストラリアのコミュニティマネジメント組織など、福祉転用に対応するための「協議調整の組織」や「対応策」など様々な仕組みが存在している。この対応策は、関係者事前ヒアリングから大きく4つのタイプ(A.適用除外、B.段階適用、C.リスク保険対応、D.総合リスク判定)になると予想されている。そこで本研究では、福祉転用にかかわるダブルスタンダードに対して、柔軟に対応する仕組みとして、新たに「福祉転用計画システム」という考え方を導入し、その理論化とシステムの構築を目的として、国内・海外の福祉転用事例の実態調査から実証的に明らかにする。

福祉転用計画システムはコチラ

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